勤と昼勤の看護師の交代は午前9時。
私がICUに入った時は、ちょうど夜勤スタッフと昼勤スタッフの入れ替わりの時だったようだ。
昼勤スタッフはまだ入職2年目の若い女の子と言った方がピンとくる容姿。それでも、看護師の制服の威力は患者には絶大なのだ。
まだ吐き気があり、当然朝食はない。代わりに水を飲む。全部嘔吐を相変わらず繰り返していた。
しばらくすると、担当看護師が「お下洗いますね」と言いながらやって来た。看護師が一人ヘルプで付いて、オムツをさっ!とずり下ろすと気持ちのいいお湯が私のムスコに降り注いだ。極楽だーと思っていると、担当看護師がムスコを親指と人差し指で摘むと、シコシコと洗いだした。生死の危機に遭遇している要看護の私が、嘔吐を繰り返している私が、摘まれたくらいで元気になるはずは無い。いや、なってはなりませぬ。なんとか平常心のまま終えたが、一度さらけ出してしまうと以後、恥じらいが無くなって行くのがわかった。次の日から、ちょうど良いお湯の気持ち良さだけが嬉しい「お下洗い」であった。
お昼が過ぎ、夕方になっても嘔吐は続き、丸二日何も食べていない状態が次の日まで続いた。
ところで、入職2年目の担当看護師は、どうも点滴の針を確保するのが苦手らしく、手や足に何度も針を刺された。私は、若手育成の為などとおどけていたが、夜勤の看護師が「針抜けて汁でてる」などとのたまう。「汁言うな汁」点滴の液が漏れてるんだろうが。一度、採血するのに針はさせたが、血液が吸い出せないと、またまた四苦八苦していた。他のベテラン看護師にヘルプを頼むといとも簡単に採血した。しかもあまり痛くなかった。担当看護師がベテラン看護師に「私がやると血が取れないんですぅ」すると聞いていた私も頷く答えがビシッと!「細い針じゃ吸えんよね」「このくらい太くないと」なるほど。さすがベテラン。
そんなこんなで、嘔吐は続き、食事抜きの二日目が終わった。